経営事項審査の審査項目「技術職員数」とは?
国や公共団体が発注する工事を請け負うためには、会社は経営事項審査を受けてから入札参加資格申請をすることになります。
審査項目は客観点と主観点とがありますが、このうち客観的を数値化したものが経営事項審査です。
いわば会社の通信簿のようなもので、経営事項審査による点数が官公庁のランク分けに反映されます。
経営事項審査には複数の項目がありますが、そのうちの1つ「技術職員数評点」の点数アップのためのポイントについてご紹介します。
技術職員数評点の算出法
客観的に評価される経営事項審査は、法の改正がたびたび行われていますが、評価するべき項目とその点数がはっきりと示されています。
経営事項審査は、この計算テーブルに当てはめることで評点を算出します。
技術職員数評点は、会社の技術点を評価する項目の一つ。技術力評点は、この技術職員数評点と元請完成工事高評点によって算出されます。
つまり、「スタッフの能力の高さ」と「今まで請け負った工事の完成度の高さ」が点数になるのですが、配分としては術職員数が8、元請完成工事高が2の割合で配置されています。
技術職員数評点は、資格区分に基づいて技術者の数値を出してから、その数値を技術職員数評点算出テーブルに当てはめて計算します。
加点対象となる技術職員の条件
技術職員数値は、一級監理受講者、一級技術者、基幹技能者、二級技術者、その他で区分されています。
点数は資格の評点が高い順に、6点、5点、3点、2点、1点となるので、上級資格を持つスタッフが多いほど、技術職員数評点を上げることが可能です。
ただし、審査基準日時点で雇用が6か月を超えない技術者は、点数に加えることができません。
また、上級資格者は複数業種の技術者になれますが、平成20年以降は1人2業種までとなっています。
たとえば、1級建築施工管理技士は建築一式工事、大工工事、とび・土工・コンクリート工事など、複数の業種の技術者になることが可能ですが、2業種までが評価対象で、それ以上は技術職員名簿に記載できません。
また、満35歳未満の技術者「若年技術職員」といいますが、平成27年より審査基準日において、技術職員の中の若年技術職員の割合も加点対象となりました。
評点アップを狙う際の注意点
経営事項審査の総合評定値のうち、技術力評点は25%を占めるので、技術職員数と元請完成工事高を増やせば、経営事項審査評点アップにつながります。
しかし安易に技術者を雇ったり、受注を増やしたりして評価アップを狙っても、人件費や無理な受注による利益の圧迫は、経営事項審査の経営状況評点によって明らかになります。
完成工事高評点、経営規模評点、経営状況評点、技術力評点、社会性等評点すべてにおいてバランスが取れた会社でないと、評点は上がらない仕組みになっているので、評点アップを狙って高級技術者を雇うことは、むしろ危険なのです。