特殊経審とは? 会社分割時に受ける経営事項審査の種類
建設業者の通信簿ともいえる経営事項審査。
公共事業を受注するためには、会社の受注成績や経営状況を数値化した経審を受けてランク付けされなければ、申請できない仕組みになっています。
経審の有効期限は審査基準日から1年7か月。
通常、受けるタイミングはその年度の事業が終了した日(決算日)以降に申請を行いますが、会社が分割したり合併した場合には、計算日を待たずに経営事項審査を受けることができます。
これを特殊経営事項審査といいます。
特殊経審とは? そのメリット
通常、経審を受ける場合は決算日を過ぎてから、この決算日を基準として審査を受けますが、分割や合併などによって組織形態が変わった場合は決算を待たずに経審を受けることができます。
これが特殊経審です。
分割されて新しくできた会社でも、特殊経審は分割前の事業実績を認めてくれます。
たとえば会社を事業別に分割したり、他の会社にその事業を譲渡した場合、新しく生まれた会社であっても以前の完成工事高や営業年数も引き継げるので、入札にも参加できるのです。
通常の経審を受けた場合、実績がないためランクが下がり、公共事業の入札に参加した場合には不利になります。
特殊経審を受ければ、こうした不利の回避が可能です。
吸収分割の場合
会社分割とは、会社で展開している複数の事業のうち一部の事業を切り離すことを言います。
吸収分割は、既存の会社に事業を引き継がせること。
事業譲渡と同じで、新しく事業を受け取った会社でも、分割前の事業の実績を丸々引き継ぐことができるので、できたばかりでもすでに実績十分な会社として活動が可能です。
経審の評点である、完成工事高、技術職員数、経営状況、営業年数は分割日に分割前の実績を継承。
法令遵守の状況は分割日前1年で計算をします。
新設分割の場合
既存の会社に事業を分割するのではなく、新たな会社を設立し、そこに事業を分割することを新設分割といいます。
吸収分割は分割する側とされる側の二社間で行われる契約ですが、新設分割は分割する会社単独で行うものです。
完成工事高は過去の完成工事高のうち、新設分割される会社に相当する部分の完成工事高で算出。
技術職員数は分割会社における雇用関係も含めた人数で算出。
経営状況は分割前の財務内容から、新設会社相当部分で財務諸表を作成。
営業年数は分割前のものを継承。法令遵守は審査対象外なので減点されません。
保険未加入の減点措置の厳格化
労働者の雇用環境改善のために社会保険未加入企業への減点措置が、より厳格化されるようになっています。
「雇用保険」「健康保険」「厚生年金保険」に未加入の場合、それぞれ40点の減点、3つすべて未加入なら120点の減点になります。
保険に未加入だと大幅に減点され、ランクも下がることになるので、通常時はもちろん、会社分割の際においても注意が必要です。
海外の先進国の場合、まず子会社を設立しなければ工事を受注できない国も多くあります。
そうしたケースが増えてきたことから、海外であっても分割した会社は特殊経審を受けることができます。